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プールから見えたスペイン

8月7日
読了時間: 5分

更新日:5 日前

この旅の中で、テオはコルドバの街や歴史、自分のルーツを通して、少しずつスペインに近づいています。

けれど、あの日私は、一つの国を知るために、必ずしも歴史的な建物の中へ入る必要はないのだと気づきました。

ときには、プールの中で出会うこともあります。


家族と一緒に、コルドバ県ビジャフランカのウォーターパーク「アクアシエラ」で一日を過ごしました。暑い夏の日。水しぶきや遊ぶ声、会話や笑い声があふれていました。


でも私にとって、それはただプールを楽しんだだけの一日ではありませんでした。

母や、きょうだいとその家族を眺めながら、ふと思いました。

「こんなに素晴らしい家族に恵まれているなんて、決して当たり前ではないな」

何気ない会話や冗談、まなざし、そして一緒にいるということ。その一つひとつから、家族の愛情を感じました。大きな言葉はなくても、その愛情はあらゆるところにありました。

— ◆ —

「どうして誰も怒らないの?」


私たちが一日を楽しんでいる間、テオは周りで起きていることを、とても注意深く見ていました。


あのプールで、私たちにはごく自然に見えることの中に、彼は新しい文化の違いを見つけていたのです。


人々が抱き合い、キスを交わす姿。

友だち同士で頭を水の中に沈め合い、そのあと笑いながら水面に顔を出す姿。

若い男性が恋人を抱き上げてプールへ投げると、彼女も笑いながら水から上がり、また二人で遊び始める姿。


親が小さな子どもと一緒に遊び、信頼し合いながら水の中へ飛び込ませると、子どもたちは笑顔でこうせがんでいました。

「もう一回、もう一回!」

それを見たテオは、驚いた顔で私に言いました。

「信じられない。どうして誰も怒らないの?」

その言葉を聞いて、私もあらためて周りを見ました。

人間関係や、その場で共有されている感覚を知らなければ、少し乱暴に見える仕草もあります。でも、そこでは遊びであり、愛情であり、信頼の表現でした。


嫌な顔をする人も、言い争う人もいません。

大人たちが、まるで子どものように夢中で遊んでいました。みんなが話し、笑い、抱き合い、同じ空間を自然に分かち合っています。その光景は、テオにとってまったく新しいものだったようです。


そして、それこそが素敵だったのです。

格好悪く見えることを恐れる人はいません。いつも真面目な大人でいなければならない、と考えている人もいないようでした。少なくともあの数時間、誰もが自由に遊ぶことを自分に許していました。

— ◆ —

愛情を伝える、目に見えないルール


日本で育ったテオは、そこで異なる人との距離感や社会のルールを身につけてきました。愛情が少ないわけではありません。その表し方が違うのです。

だからこそ、あの場所で目にした、触れ合いが多く、にぎやかで、自然な関わり方が、彼の中にたくさんの疑問を生んだのでしょう。


文化の違いは、食べ物や建築、言葉、歴史の中だけにあるのではありません。

人と人との距離感。

抱きしめるという愛情表現。

話す声の大きさ。

冗談の交わし方。

触れ合うことに、どのような意味を感じるのか。

そして、ある行動を不快なものと受け取るのか、それとも信頼の表れと受け取るのか。


どちらかの文化が優れているという話ではありません。

人との関わり方や、気持ちの表し方が違うのです。


テオは日本で育ち、スペインにもルーツを持っています。二つの場所に属しているからこそ、スペインを内側からも外側からも見られるのかもしれません。

私は、そのことにとても心を動かされます。


私にとっては恋人同士が水の中で遊んでいるだけの光景でも、彼は「どうして二人とも怒らないのだろう」と考えます。

私にとっては家族が笑っている日常の風景でも、彼は「この信頼はどこから生まれてくるのだろう」と理解しようとします。


そして、そんなテオの話を聞きながら、私は思いました。

この旅は、私が息子に自分のルーツを教えるためだけのものではないのかもしれません。

テオの目を通して、私自身もスペインをもう一度見つめ直しているのです。



— ◆ —

スペインをもう一度見つめる


彼と一緒にいることで、これまで当たり前だと思っていた風景を、私も新鮮な気持ちで見られるようになりました。説明する必要さえ感じていなかった小さなことの中にも、私たちがどのように生き、どのように人と関わっているのかが表れています。


あの日、私は家族の愛情を深く感じました。

そして同時に、息子が私たちの生き方の一部を、少しずつ理解していく姿を見ました。


誰かに説明されたからではありません。

本で読んだからでもありません。

人々が遊び、抱き合い、笑い、愛情を交わす姿を、自分の目で見たからです。


あの数時間、プールはスペインのある一面を映す小さな窓のようでした。

その中でテオは、愛情には、ときににぎやかで、触れ合いを伴い、遊び心にあふれ、とても自然な形もあるのだと知りました。


この旅は、今も私たちの宝箱を少しずつ満たし続けています。

そして、あの日も新しい宝物が一つ加わりました。

夏の一日。

素晴らしい家族。

たくさんの笑い声。

そして、大人になっても子どものように遊んでいい場所があることに驚く、テオのまなざしです。

「息子にスペインを見せるために連れてきたつもりでした。でも毎日、息子の目を通して、私もスペインを見つめ直しています」

— ◆ —

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AlitaDePollo

1件のコメント

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Takao
Takao
8月08日
•
Rosa Cardマスタークラス

テオ君がスペインに行こうと思った!それはべに先生のテオ君への愛がそうさせた!べに先生はなぜそうしたか?それは、べに先生のなかには、べに先生のお父さまから うけた愛が生きているから!そしてそれはテオ君に受けつがれる!愛の歴史❤️

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