プールから見えたスペイン
更新日:5 日前
この旅の中で、テオはコルドバの街や歴史、自分のルーツを通して、少しずつスペインに近づいています。
けれど、あの日私は、一つの国を知るために、必ずしも歴史的な建物の中へ入る必要はないのだと気づきました。
ときには、プールの中で出会うこともあります。
家族と一緒に、コルドバ県ビジャフランカのウォーターパーク「アクアシエラ」で一日を過ごしました。暑い夏の日。水しぶきや遊ぶ声、会話や笑い声があふれていました。
でも私にとって、それはただプールを楽しんだだけの一日ではありませんでした。
母や、きょうだいとその家族を眺めながら、ふと思いました。
「こんなに素晴らしい家族に恵まれているなんて、決して当たり前ではないな」
何気ない会話や冗談、まなざし、そして一緒にいるということ。その一つひとつから、家族の愛情を感じました。大きな言葉はなくても、その愛情はあらゆるところにありました。
— ◆ —
「どうして誰も怒らないの?」
私たちが一日を楽しんでいる間、テオは周りで起きていることを、とても注意深く見ていました。
あのプールで、私たちにはごく自然に見えることの中に、彼は新しい文化の違いを見つけていたのです。
人々が抱き合い、キスを交わす姿。
友だち同士で頭を水の中に沈め合い、そのあと笑いながら水面に顔を出す姿。
若い男性が恋人を抱き上げてプールへ投げると、彼女も笑いながら水から上がり、また二人で遊び始める姿。
親が小さな子どもと一緒に遊び、信頼し合いながら水の中へ飛び込ませると、子どもたちは笑顔でこうせがんでいました。
「もう一回、もう一回!」
それを見たテオは、驚いた顔で私に言いました。
「信じられない。どうして誰も怒らないの?」
その言葉を聞いて、私もあらためて周りを見ました。
人間関係や、その場で共有されている感覚を知らなければ、少し乱暴に見える仕草もあります。でも、そこでは遊びであり、愛情であり、信頼の表現でした。
嫌な顔をする人も、言い争う人もいません。
大人たちが、まるで子どものように夢中で遊んでいました。みんなが話し、笑い、抱き合い、同じ空間を自然に分かち合っています。その光景は、テオにとってまったく新しいものだったようです。
そして、それこそが素敵だったのです。
格好悪く見えることを恐れる人はいません。いつも真面目な大人でいなければならない、と考えている人もいないようでした。少なくともあの数時間、誰もが自由に遊ぶことを自分に許していました。
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愛情を伝える、目に見えないルール
日本で育ったテオは、そこで異なる人との距離感や社会のルールを身につけてきました。愛情が少ないわけではありません。その表し方が違うのです。
だからこそ、あの場所で目にした、触れ合いが多く、にぎやかで、自然な関わり方が、彼の中にたくさんの疑問を生んだのでしょう。
文化の違いは、食べ物や建築、言葉、歴史の中だけにあるのではありません。
人と人との距離感。
抱きしめるという愛情表現。
話す声の大きさ。
冗談の交わし方。
触れ合うことに、どのような意味を感じるのか。
そして、ある行動を不快なものと受け取るのか、それとも信頼の表れと受け取るのか。
どちらかの文化が優れているという話ではありません。
人との関わり方や、気持ちの表し方が違うのです。
テオは日本で育ち、スペインにもルーツを持っています。二つの場所に属しているからこそ、スペインを内側からも外側からも見られるのかもしれません。
私は、そのことにとても心を動かされます。
私にとっては恋人同士が水の中で遊んでいるだけの光景でも、彼は「どうして二人とも怒らないのだろう」と考えます。
私にとっては家族が笑っている日常の風景でも、彼は「この信頼はどこから生まれてくるのだろう」と理解しようとします。
そして、そんなテオの話を聞きながら、私は思いました。
この旅は、私が息子に自分のルーツを教えるためだけのものではないのかもしれません。
テオの目を通して、私自身もスペインをもう一度見つめ直しているのです。
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スペインをもう一度見つめる
彼と一緒にいることで、これまで当たり前だと思っていた風景を、私も新鮮な気持ちで見られるようになりました。説明する必要さえ感じていなかった小さなことの中にも、私たちがどのように生き、どのように人と関わっているのかが表れています。
あの日、私は家族の愛情を深く感じました。
そして同時に、息子が私たちの生き方の一部を、少しずつ理解していく姿を見ました。
誰かに説明されたからではありません。
本で読んだからでもありません。
人々が遊び、抱き合い、笑い、愛情を交わす姿を、自分の目で見たからです。
あの数時間、プールはスペインのある一面を映す小さな窓のようでした。
その中でテオは、愛情には、ときににぎやかで、触れ合いを伴い、遊び心にあふれ、とても自然な形もあるのだと知りました。
この旅は、今も私たちの宝箱を少しずつ満たし続けています。
そして、あの日も新しい宝物が一つ加わりました。
夏の一日。
素晴らしい家族。
たくさんの笑い声。
そして、大人になっても子どものように遊んでいい場所があることに驚く、テオのまなざしです。
「息子にスペインを見せるために連れてきたつもりでした。でも毎日、息子の目を通して、私もスペインを見つめ直しています」
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AlitaDePollo

テオ君がスペインに行こうと思った!それはべに先生のテオ君への愛がそうさせた!べに先生はなぜそうしたか?それは、べに先生のなかには、べに先生のお父さまから うけた愛が生きているから!そしてそれはテオ君に受けつがれる!愛の歴史❤️